入管の在留申請オンラインシステムは、2026年1月5日に新システムへ更改され、添付容量の拡大・複数ファイル添付・一時保存などが実装されました。一方で、在留期限当日は申請できない、セキュリティ設定付きPDFは無警告で無効になる、郵送受領が遅れている——といった「知らないと事故になる」運用ルールも増えています。本記事は入管庁の**Q&A(令和8年6月時点)**と各種お知らせの原文に基づき、取次実務の手順と落とし穴を、利用者登録から受領までの流れに沿って整理します。

この記事の結論

  • 対象手続は7種(認定・変更・更新・取得・就労資格証明書+同時申請の再入国・資格外活動)。永住許可と在留カード関係手続は対象外
  • 弁護士・行政書士は個人ごとの利用者ID(届出済証明書が前提)。所属機関は利用申出→承認(1〜2週間)→3年ごと定期報告
  • 添付はPDF・20ファイル・合計25MBパスワード・印刷禁止設定のPDFは無警告でエラー扱い
  • 在留期限当日・期限経過後・転入届当日・本人出国中・海外IPは不可。受付日は申請日、受付番号は翌日メール——本人に携行させる
  • 受領は認定証明書がメールor郵送、在留カードが郵送or窓口。手数料は収入印紙のみ(電子納付不可)、令和8年5月時点で郵送は遅延傾向のため窓口受領が推奨

1. 誰が・何を申請できるか

1-1. 利用者区分(7類型)

区分前提備考
所属機関の職員申請等取次者の承認を受けている/承認要件を満たす技能実習(団体監理型)は監理団体の職員
弁護士・行政書士申請等取次者として届出済(届出済証明書)令和4年3月16日から個人ごとの利用者ID
公益法人の職員取次承認+所属機関からの依頼
登録支援機関の職員取次承認+所属機関からの依頼
外国人本人中長期在留者・15歳以上。マイナンバーカード必須(スマホのマイナポータルアプリで読取、ICカードリーダ不可)特例期間中にカード失効で資料提出不可(令和8年1月〜)
法定代理人
親族(配偶者・子・父母)16歳未満・疾病等の場合に限る利用者区分は「法定代理人等」

1-2. 対象手続と対象外

できる:①在留資格認定証明書交付 ②在留資格変更 ③在留期間更新 ④在留資格取得 ⑤就労資格証明書交付 ⑥②〜④と同時の再入国許可 ⑦②〜④と同時の資格外活動許可。

できない永住許可申請在留カード関係手続(住居地以外の記載事項変更届・有効期間更新申請等)、外交・短期滞在・特定活動(出国準備期間)に係る申請、特定在留カード交付申請(令和8年6月時点)。対象在留資格の範囲は入管庁の「オンラインで申請可能な申請種別及び在留資格(対象範囲)」PDFで確認します。

2. 行政書士の利用者登録・利用申出

  1. ログイン画面右上「新規登録」→メールアドレス入力→登録用URL→利用者区分**「弁護士・行政書士」**を選択(Q1-7)
  2. 利用申出:「住居地」欄は所属事務所の所在地(Q2-12)、「申請等取次者証明書番号」は届出済証明書の12桁(Q2-13)
  3. 利用者IDの有効期間は届出済証明書の有効期限まで。証明書を更新すれば自動延長。番号が変わった場合は「利用者情報変更届出(別記17号様式)」を郵送・窓口提出(Q2-16)
  4. 利用者IDは個人専属——他人のID利用は禁止(Q1-9)。申請前に本人の申請意思と入力内容を必ず確認(Q1-10)

所属機関(企業)側が自ら申請する場合は、利用申出(オンラインまたは管轄地方入管へ出頭・郵送)→承認まで1〜2週間(Q3-5)→承認日から3年有効、期限1か月前までに定期報告(Q3-7)。担当者交代時は追加利用申出(Q3-8)。カテゴリー3の所属機関が利用申出時に決算文書等を出して承認を受ければ、以後の申請でカテゴリー2同様の簡素化書類で申請できます(経営・管理を除く。Q1-6・Q3-9)——顧問先企業に利用申出を勧める実務上の最大のメリットです。

3. 申請入力・添付のルール

3-1. 添付ファイル(Q4-2・4-3)

項目ルール
形式PDF(拡張子 .pdf)、ISO 32000-1準拠
数・容量20ファイルまで、顔写真を含め合計25MB以下(一括申請でも1申請ごと)
画質目視で確認できること(200dpi相当以上推奨
NGパスワード設定・印刷禁止・コピー禁止・ネットワーク認証が必要なPDF→エラーメッセージなしでエラーファイル扱い、再提出
25MB超「資料添付に係る申告書(参考様式9)」+添付可能分→入管から再添付可のメール後に残りを添付

スキャナやPDF編集ソフトの初期設定で「印刷禁止」「編集制限」が入っていないかを事務所で一度点検しておく価値があります。エラーでも通知が来ない点が最大の罠です。

3-2. 入力・受付(Q4-9〜4-16・4-24〜4-30)

  • 受付は24時間365日(メンテナンス除く)。受付日=オンラインで申請した日
  • 申請受付完了メール→約10分後に仮番号翌日に申請受付番号。番号の頭文字で受付官署が分かる(東オン=東京局、横オン=横浜支局、阪オン=大阪局 等)。
  • 「通知送信用メールアドレス」は外国人本人のアドレス(本人がメールを持たない場合は本人が確認できるアドレス)。
  • 複数人は一括申請用テンプレート(CSV、最大300人)——同一手続・同一入力画面の在留資格に限る。
  • 入力途中の一時保存が可能(新システム)。
  • 申請後の内容修正はオンラインでは不可——受付官署に連絡し、取下げ・再申請または書面提出。
  • 海外IPからはアクセス不可(国内でも海外IP設定ならログイン不可)。

3-3. 在留資格別の留意点

  • 特定技能:特定産業分野・業務区分・試験名の選択肢表示に注意(Q4-22)、令和8年4月1日以降の申請に係るお知らせあり。
  • 経営・管理:令和7年10月16日の基準省令改正に伴う新様式項目(事業の用に供される財産の総額、日本語能力を有する経営者・常勤従業員の有無等)の入力方法はお知らせ別添に従う。カテゴリー3立証で利用申出承認を受けた機関は、経営・管理に限りカテゴリー2扱いから除外経営・管理ビザ改正参照)。
  • 外国人本人申請:就労資格等では所属機関等作成用申請書の添付が必要(Q4-40)。マイナポータル経由で所得・住民税情報を取得して添付できる(Q4-41)。

4. 申請中の証明と受領

4-1. 「申請中」の証明は受付番号メール

オンライン申請では在留カード裏面に「申請中」印が押されないため、申請受付番号が記載された受付完了メールを在留カードとあわせて常に携行する必要があります。入管庁は利用者(取次者)に対し、この点を外国人本人へ必ず伝えるよう求めています。金融機関の口座開設等で押印・申請受付票が必要なら受理官署に相談(Q4-38)。特例期間の考え方は在留期間更新の不許可理由で触れたとおり、在留期限から2か月以内に許可・受領まで終える必要があります(Q6-5注)。

4-2. 受領方法(Q5-1・5-10・6-1・6-2)

書類受領方法郵送不可の例
在留資格認定証明書メール or 郵送
在留カード郵送 or 窓口再入国許可の同時申請/旅券証印で許可(在留期間3月以下等)/漢字氏名併記の新規申出/在留カード有効期間更新を伴う場合
就労資格証明書郵送 or 窓口

郵送の流れ:審査完了メール→返信用封筒(簡易書留分切手・裏面に受付番号)+手数料納付書(収入印紙)+現在の在留カード原本・指定書を簡易書留またはレターパックで東京入管オンライン審査第二部門おだいば分室へ。送付先は行政書士の場合所属事務所の所在地固定。手数料の電子納付(クレジットカード等)はできません。処理状況が「申請完了」「審査中」なら受領方法を変更可、「完了」後は不可。

IT・オンラインでの解決策

事務所側で整えておきたいのは3点。①PDF生成の標準化——スキャン→結合→容量圧縮→セキュリティ設定なしを確認するワークフローを固定し、25MB超案件は参考様式9の運用を決めておく。②通知メールの自動振り分け——「@rasens-immi.moj.go.jp」ドメインを受信許可し、受付番号メールを案件フォルダへ自動保存。本人への転送テンプレートも用意する。③期限管理——在留期限当日不可・転入届翌日以降・2か月特例期間の3つのデッドラインを案件管理表のアラートに組み込む。新システムでは令和7年12月以前の案件が一覧に表示されないため、過去案件の一覧は印刷・保存しておくよう入管庁も案内しています。

5. 取次実務チェックリスト

  • 届出済証明書の有効期限と12桁番号を確認し、利用者IDの有効期間を把握
  • 依頼者(本人)の在留期限・転入届日・出国予定を確認(期限当日・転入当日・出国中は不可)
  • 対象手続・対象在留資格か(永住・在留カード手続・外交・短期滞在は対象外)
  • 本人の申請意思と入力内容を確認した記録を残す(依頼状等は結果が出るまで保管)
  • 添付PDFはセキュリティ設定なし・20ファイル・25MB以下・200dpi以上
  • 通知送信用メールアドレスは本人のもの。受付番号メールの携行を本人に説明
  • 受領方法(郵送/窓口)と郵送不可条件、所要日数の見込みを依頼者と合意
  • 郵送受領は返信用封筒・手数料納付書(収入印紙)・在留カード原本をおだいば分室へ
  • 在留期限から2か月以内に受領完了するスケジュールか
  • 所属機関の利用申出(3年・定期報告)の期限を顧問先ごとに管理

まとめ

項目内容
システム在留申請オンラインシステム(令和8年1月5日更改版)
利用者所属機関職員・弁護士/行政書士・公益法人職員・登録支援機関職員・本人・法定代理人・親族
対象手続認定・変更・更新・取得・就労資格証明書+同時の再入国・資格外活動(永住・在留カード手続は不可)
添付PDF・20ファイル・25MB・200dpi推奨・セキュリティ設定NG
時間制限24時間受付/在留期限当日・経過後・転入届当日・出国中・海外IPは不可
手数料変更・更新 5,500円(窓口6,000円)、収入印紙のみ
受領認定証明書:メール/郵送、在留カード:郵送/窓口(おだいば分室)。令和8年5月時点で郵送遅延
問合せ操作:ヘルプデスク 050-3786-3053/申請:受理官署

よくある質問

Q.行政書士が在留申請オンラインシステムを使うには何が必要ですか?
A.申請等取次者としての届出(届出済証明書)を受けていることが前提です。システムのログイン画面から利用者区分「弁護士・行政書士」で利用者登録し、所属事務所の所在地と届出済証明書の12桁の証明書番号を入力して利用申出を行います。令和4年3月16日以降は行政書士個人に固有の利用者IDが付与されるため、依頼元の所属機関ごとに利用申出をする必要はありません。利用者IDの有効期間は届出済証明書の有効期限までで、証明書を更新すれば自動延長されます。
Q.オンラインで申請できない手続は何ですか?
A.永住許可申請と、在留カードに係る手続(住居地以外の記載事項変更届、在留カードの有効期間更新申請など)はオンラインでは行えません。在留資格でも外交・短期滞在・特定活動(出国準備期間)は対象外です。また在留期限の当日、在留期限経過後、転入届を出した当日、本人が再入国許可で出国中の場合もオンライン申請はできず、海外のIPアドレスからはアクセスできません。
Q.添付書類のルールを教えてください。
A.PDF形式のみ、1申請あたり20ファイルまで、顔写真を含め合計25MB以下で、200dpi相当以上の解像度が推奨されています。パスワード設定・印刷禁止・コピー禁止などのセキュリティ設定があるPDFや、ISO 32000-1に準拠しないファイルは、エラーメッセージが出ないままエラーファイルとして処理され、入管側で確認できず再提出を求められます。25MBを超える場合は「資料添付に係る申告書(参考様式9)」を添えて添付可能な分だけ添付し、入管から再添付可能の連絡を受けた後に残りを添付します。
Q.オンライン申請中であることはどう証明しますか?
A.窓口申請と違って在留カード裏面に「申請中」の押印がされないため、申請受付の翌日に送られる「申請受付番号が記載された受付完了メール」を在留カードとあわせて常に携行する必要があります。取次者は外国人本人にこの点を必ず伝えるよう入管庁が求めています。金融機関の口座開設等で押印や申請受付票が必要な場合は、申請を受理した地方入管に相談します。
Q.在留カードは郵送で受け取れますか?
A.申請時に受領方法を「郵送」にすれば可能ですが、再入国許可を同時申請する場合、在留期間3月以下など旅券証印で許可される場合、漢字氏名併記を新たに申し出る場合、在留カードの有効期間更新を伴う場合は郵送を選べません。審査完了後、返信用封筒・手数料納付書(収入印紙)・現在の在留カード原本等を東京入管おだいば分室に簡易書留等で送付します。令和8年5月時点で到着まで日数がかかっており、入管庁は早く受け取りたい場合は「窓口」を選ぶよう勧めています。手数料の電子納付はできません。

編集長の一言

オンライン申請の価値は「窓口に並ばない」ことより、利用申出済み所属機関の書類簡素化一括申請にあります。反面、Q&Aを読み込むと、期限当日不可・無警告のPDFエラー・受付番号メールの携行など、紙申請にはなかった失点ポイントが点在しています。改正行政書士法がICT活用を職責に書き込んだ今、「使える」だけでなく「事故を起こさない運用設計」まで含めて事務所の標準にしておきたいところです。

出典・関連法令(一次情報)