留学生や家族滞在の外国人がアルバイトをするには、在留資格の本来の活動とは別に資格外活動許可が必要です。よく知られた「週28時間ルール」はこの許可の条件ですが、「週」をどう区切るのか、掛け持ちはどう数えるのか、夏休みの1日8時間はいつから使えるのか——現場では誤解が絶えず、超過が発覚して在留期間の更新や就労ビザへの変更が不許可になる例も公表されています。本記事は入管法19条・施行規則19条5項の条文と入管庁の案内ページの原文に基づき、数え方・許可の種類・違反リスクを、雇う側・働く側の両方の視点で整理します。
この記事の結論
- 別表第一の在留資格(留学・家族滞在・就労資格等)の人が本来の活動以外で報酬を得るには入管法19条2項の許可が必要。永住者・定住者など別表第二は対象外。
- 包括許可=「1週について28時間以内」(留学生は長期休業期間中1日8時間以内)。勤務先・職種を特定せず認められ、風俗営業等の営業所での就労は不可。
- 28時間は全勤務先の合算で、実務上はどの日を起点にしても連続7日間で28時間以内に収める運用。超過は1日でも違反。
- 28時間を超える・稼働時間を客観的に確認しにくい働き方(インターンシップ、業務委託、個人事業主等)は個別許可が必要。
- 違反すると本人は罰則・退去強制・更新不許可、雇用主は不法就労助長罪(知らなかったでは原則免責されない)。手数料は無料、標準処理期間は2週間〜2か月。
1. 制度の骨格 — 誰に、何の許可が必要か
1-1. 入管法19条の構造
【原文・入管法19条1項】別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。
【同2項】出入国在留管理庁長官は、……当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を付することができる。
つまり禁止が原則、許可が例外です。対象は別表第一の在留資格全般——留学・家族滞在はもちろん、技人国などの就労資格の人が別の就労資格に当たる副業をする場合も含みます。永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者(別表第二)は就労制限がないため対象外です。なお「業として行うものではない講演の謝金」「日常生活に伴う臨時の報酬」など法務省令で定めるものは、そもそも「報酬」から除かれます。
1-2. 許可の要件(一般原則)
入管庁は次の7要件すべてに適合する場合に許可するとしています。
- 申請に係る活動によって、現に有する在留資格の活動の遂行が妨げられないこと
- 現に有する在留資格に係る活動を行っていること(退学・休学中の留学生は原則NG)
- 申請に係る活動が別表第一の一・二の表の在留資格の活動に該当すること(特定技能・技能実習を除く。包括許可では不要)
- 法令違反となる活動、風俗営業・店舗型性風俗特殊営業・特定遊興飲食店営業が営まれる営業所での活動、無店舗型性風俗・映像送信型性風俗・電話異性紹介営業に従事する活動でないこと
- 収容令書の発付・意見聴取通知書の送達を受けていないこと
- 素行が不良でないこと
- 契約に基づく在留資格(技人国等)の人は、所属機関が資格外活動に同意していること
1-3. 包括許可と個別許可
| 包括許可 | 個別許可 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 施行規則19条5項1号・2号 | 同3号 |
| 範囲 | 1週28時間以内(留学生は長期休業期間中1日8時間以内)。勤務先・職種を特定しない | 勤務先の名称・所在地・業務内容等を個々に指定 |
| 対象の例 | 留学、家族滞在、扶養を受ける特定活動、継続就職活動・内定者の特定活動、地方公共団体等に雇用される教育・技人国・技能(スポーツ指導) | 週28時間超のインターンシップ、「教授」の人が民間で語学講師、業務委託・請負で労働時間が不明確、個人事業主、起業準備 |
| 必要書類 | 申請書のみ | 申請書+活動内容・期間・時間・報酬を示す文書(契約書、在学証明書等) |
| 在留カードの記載 | 裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」 | 裏面に個別の許可内容 |
両方の許可を持つこともできますが、追加で受けるときは既存の許可を踏まえて本来の活動を阻害しない範囲かが改めて審査されます。
2. 実務上の注意点 — 28時間の正確な数え方
2-1. 条文上は「一週について二十八時間以内」
【原文・施行規則19条5項1号】一週について二十八時間以内(留学の在留資格をもつて在留する者については、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(……留学の在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る。)
条文は「月曜始まり」「日曜始まり」といった暦週の区切りを定めていません。このため入管実務では、どの日を起点にしても、連続する7日間の合計が28時間以内になるように管理する運用が定着しています。「今週は前半に集中して32時間、来週は24時間」は、週の平均が28時間でもアウトです。雇用主はシフト表を7日間のローリング合計でチェックする仕組みを持っておくのが安全です。
2-2. 掛け持ちは合算、残業も含む
28時間は本人が行う資格外活動の総量です。複数の勤務先がある場合は全勤務先の合計で判断され、各店舗が「うちは週20時間だから大丈夫」と考えていても、本人の合計が28時間を超えれば違反です。所定時間外の残業・休日出勤も当然に算入されます。採用面接で他のアルバイトの有無と週の時間数を確認し、雇用契約書に自己申告を記載させる運用が実務上の最低ラインです。
2-3. 長期休業期間の「1日8時間」は留学生限定
1日8時間の特例は**「留学」の在留資格で、教育機関が学則で定める長期休業期間中に限られます。家族滞在には適用されません。「長期休業期間」は学則が基準なので、学生本人の申告だけでなく学校の年間予定(学年暦)で裏取りします。また8時間は入管法上の上限で、労働基準法の週40時間・1日8時間**は別途かかります。
2-4. 留学生の包括許可は「在籍している間」だけ
施行規則は留学生の包括許可を教育機関に在籍している間に行うものに限ると明記しています。卒業後は在留資格「留学」の残存期間中であっても包括許可で働くことはできず、就職活動を続けるなら継続就職活動の特定活動に変更したうえで改めて許可を受ける必要があります。退学・除籍も同様で、「在籍していない留学生」の就労は不法就労です。なお、大学・高専(4年生以上)との契約でTA・RAとして報酬を受ける教育・研究補助活動は、平成22年7月から資格外活動許可が不要です。
2-5. 業務委託・ギグワーク・個人事業は「時間が見えるか」で分かれる
近年増えたフードデリバリー等の成果報酬型の働き方について、入管庁は「個人事業主として配達等の依頼を受注し、成果に応じた報酬を得る活動で、稼働時間を客観的に確認できるもの」は包括許可の範囲内、確認が困難なものは個別許可が必要と整理しています。業務委託・請負契約も同じで、標準的な労働時間が契約上明確なら包括許可のみで可、不明確なら個別許可。法人設立・従業員雇用・事業所設置まで行うなら資格外活動ではなく**「経営・管理」への在留資格変更**が必要です。
2-6. 違反のペナルティ — 本人と雇用主の両方に
| 誰が | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 本人 | 入管法73条 | 19条1項違反の就労:1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金(併科あり) |
| 本人 | 同70条1項4号 | 資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる者:3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金 |
| 本人 | 同24条4号イ | 同上は退去強制事由 |
| 本人 | 同19条3項 | 条件違反等による許可の取消し |
| 本人 | 審査実務 | 在留期間更新・在留資格変更の不許可(技人国ガイドラインに「週28時間を恒常的に超えたアルバイト」の不許可事例) |
| 雇用主 | 同73条の2 | 不法就労助長罪:3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金。許可がないこと・時間超過を知らなくても、過失がないときを除き免責されない |
刑事処分まで至らなくても、留学生本人にとって最も現実的な損失は**「留学→技人国」の変更が不許可になる**ことです。技術・人文知識・国際業務完全ガイドで触れたとおり、入管庁のガイドラインは資格外活動の恒常的超過を不許可事例として明示しています。
IT・オンラインでの解決策
留学・教育・技人国・技能で新規入国する人は、上陸許可に引き続き空港で包括許可の申請・取得ができます(在留期間3月を除く)。入国後の申請は住居地管轄の地方入管で、手数料無料・標準処理期間2週間〜2か月。オンライン申請は在留資格変更・更新・取得と同時の場合に限られ、令和6年1月からは許可書を郵送で受け取れます。雇用主側は、勤怠システムに在留カード番号・許可の有無・連続7日間の稼働合計アラートを持たせると、掛け持ちの自己申告と組み合わせて28時間超過を機械的に止められます。在留カード裏面の資格外活動許可欄と、在留期限の両方を採用時と更新時に必ず確認・記録してください。
3. 採用時チェックリスト(雇用主向け)
- 在留カードの表面(在留資格・在留期限・就労制限の有無)と裏面(資格外活動許可欄)を原本で確認し、写しを保管
- 許可が「包括許可(原則週28時間以内・風俗営業等を除く)」か「個別許可(勤務先指定)」かを確認
- 自社の業態が風俗営業・性風俗・特定遊興飲食店営業に該当しないこと
- 他のアルバイトの有無と週の勤務時間を面接時に確認し、雇用契約書等に自己申告欄を設ける
- シフトは連続7日間の合計(全勤務先合算・残業込み)で28時間以内に収まるよう管理
- 留学生の1日8時間は学則の長期休業期間中のみ — 学校の学年暦で裏取り
- 留学生の在籍状況(卒業・退学・除籍)を定期確認。卒業後は包括許可で就労不可
- 在留期限の到来前に更新状況を確認(期限切れ後の就労は不法就労)
- 外国人雇用状況届出(ハローワーク)を雇入れ・離職時に提出
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 別表第一の在留資格で在留する人(留学・家族滞在・就労資格等)。別表第二(永住者等)は不要 |
| 包括許可 | 1週28時間以内(留学生は長期休業期間中1日8時間以内)。風俗営業等の営業所は不可 |
| 数え方 | 全勤務先合算・残業込み。実務上はどの日を起点にしても連続7日で28時間以内 |
| 個別許可 | 28時間超のインターンシップ、業務委託・個人事業主等で稼働時間が不明確な場合など。勤務先を個別指定 |
| 費用・期間 | 手数料無料/標準処理期間2週間〜2か月/空港での申請可(留学・教育・技人国・技能の新規上陸時) |
| 罰則 | 本人:1年以下拘禁刑または200万円以下罰金(専ら行う場合3年・300万円+退去強制)/雇用主:不法就労助長罪 3年以下拘禁刑または300万円以下罰金 |
| 根拠法令 | 入管法19条・24条4号イ・70条・73条・73条の2/施行規則19条5項 |
よくある質問
- Q.資格外活動許可の「週28時間」はどう数えますか?
- A.施行規則19条5項1号は「一週について二十八時間以内」と定めており、月曜〜日曜のような暦の週で区切る旨の規定はありません。入管実務では、どの日を起点にしても連続する7日間の合計が28時間以内に収まるよう管理する運用が定着しています。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は全勤務先の時間を合算し、残業時間も含めて数えます。
- Q.留学生は夏休み中どれだけ働けますか?
- A.在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間中は、1日について8時間以内まで働けます(施行規則19条5項1号)。ただし労働基準法の週40時間制限は当然に及びます。長期休業期間かどうかは学則で判断されるため、雇用主は学生に学校の休業期間を確認し、シフト管理に反映しておく必要があります。なお留学生の包括許可は「教育機関に在籍している間」に限られ、卒業後・退学後は使えません。
- Q.資格外活動許可の申請に費用や期間はかかりますか?
- A.手数料は無料で、標準処理期間は2週間〜2か月です。包括許可は申請書のみで申請でき、留学・教育・技術・人文知識・国際業務・技能の在留資格で新規上陸する場合(在留期間3月を除く)は、上陸許可に引き続き空港で申請・取得することもできます。オンライン申請は在留資格変更・更新・取得の申請と同時に行う場合に限られます。
- Q.週28時間を超えて働くとどうなりますか?
- A.本人には、入管法73条により1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金(併科あり)、資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合は同法70条で3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金と退去強制事由(24条4号イ)に該当します。刑事処分に至らなくても、在留期間更新や就労資格への変更が不許可になる例が入管庁のガイドラインに公表されています。雇用主も不法就労助長罪(73条の2、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金)の対象で、在留カードを確認せず許可の有無や時間制限を知らなかったとしても、過失がない場合を除き処罰を免れません。
- Q.家族滞在の人が週28時間を超えて働く方法はありますか?
- A.個別許可を受ければ可能ですが、一般原則の要件を満たし、かつ当該活動に従事する期間が在留期間の過半を超えないことが条件です。活動内容や契約内容からみて在留目的が実質的に変わっていると判断される場合は、資格外活動許可ではなく就労系在留資格への変更手続が必要になります。
編集長の一言
28時間ルールは「週」の定義が条文にないからこそ、最も厳しい読み方(どの7日間でも28時間以内)で運用するのが雇う側の自衛策です。掛け持ちの合算も同じで、自店のシフトだけ見ていても本人の違反は防げません。留学生本人にとっては、数時間の超過が数年後の就職ビザを壊しかねない——「バイトの時間」ではなく「在留の条件」として扱う感覚を、雇用主も学生も持っておくべきです。
出典・関連法令(一次情報)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条(活動の範囲・資格外活動許可)(参照日: 2026-08-19)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条第5項(包括許可の範囲:1週28時間・長期休業期間1日8時間)(参照日: 2026-08-19)
- 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」(要件の一般原則・包括許可と個別許可)(参照日: 2026-08-19)
- 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」(参照日: 2026-08-19)
- 出入国在留管理庁「『家族滞在』の在留資格に係る資格外活動許可について」(参照日: 2026-08-19)
- 出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」(手数料・標準処理期間・必要書類)(参照日: 2026-08-19)
- 出入国管理及び難民認定法 第73条・第73条の2(資格外活動罪・不法就労助長罪)(参照日: 2026-08-19)