外国人を採用するとき、最初に確かめるべきは履歴書よりも在留カードです。日本に在留する外国人は入管法別表第一・第二の29種類の在留資格のどれかを持ち、「どんな仕事を、どれだけの時間できるか」は在留資格で決まっています。本記事は入管庁の在留資格一覧表の原文に基づき、全在留資格の就労可否・在留期間・採用時の確認ポイントを1枚の早見表に集約し、あわせて在留カードの見方(2026年6月の新様式対応)・外国人雇用状況届出・不法就労助長罪という雇用主の3つの義務を整理します。CSV版は無料でダウンロードできます。
この記事の結論
- 在留資格は大きく4グループ:①定められた範囲で就労できる就労資格(技人国・特定技能等19種)、②原則就労不可だが資格外活動許可で週28時間まで働ける資格(留学・家族滞在等)、③指定書次第の特定活動、④制限なしの居住資格(永住者・定住者等)。
- 採用時の確認は在留カードの表面3点+裏面1点(在留資格・満了日・就労制限の有無・資格外活動許可)。特定活動は指定書、新様式カードは読取アプリまで。
- 雇入れ・離職のたびにハローワークへ外国人雇用状況届出(雇用保険加入者は資格取得・喪失届の備考欄、非加入者は翌月末日まで様式第3号)。怠ると30万円以下の罰金。
- 在留資格を確認せず不法就労させれば不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金)。「知らなかった」は過失がない場合しか通らない。
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在留資格 早見表CSVをダウンロード(無料・登録不要)
UTF-8のCSV形式(32行・8列)です。ExcelまたはGoogleスプレッドシートで開き、採用担当者の手元資料・社内研修資料としてお使いください。各行に根拠法令を付けています。
1. 早見表 — 在留資格別の就労可否
1-1. 就労資格(別表第一の一・二の表)— 定められた範囲でのみ就労可
| 在留資格 | 就労できる範囲 | 該当例 | 在留期間 | 採用時の確認ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 教授 | 大学等での研究・教育 | 大学教授 | 5年・3年・1年・3月 | 民間での講師業は個別許可が必要 |
| 芸術・宗教・報道 | それぞれの活動に限る | 画家、宣教師、外国記者 | 5年・3年・1年・3月 | 一般企業での雇用は不可 |
| 高度専門職1号 | 指定機関での研究・専門業務・経営 | ポイント制の高度人材 | 5年 | 指定書で機関を確認。転職は要許可 |
| 高度専門職2号 | ほぼ全ての就労活動 | 1号からの移行者 | 無期限 | カード有効期限は確認 |
| 経営・管理 | 事業の経営・管理 | 経営者・管理者 | 5年・3年・1年・6月・4月・3月 | 2025年10月の新基準(資本金等3,000万円等) |
| 法律・会計業務/医療 | 有資格業務 | 弁護士、医師、看護師 | 5年・3年・1年・3月 | 日本の資格の有無 |
| 研究 | 契約に基づく研究 | 企業・機関の研究者 | 5年・3年・1年・3月 | 営業等は範囲外 |
| 教育 | 学校での語学教育等 | 中学・高校の語学教師 | 5年・3年・1年・3月 | 民間語学学校は技人国 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 専門的知識を要する業務/国際業務 | エンジニア、通訳、デザイナー | 5年・3年・1年・3月 | 単純労働は原則不可。職務と専攻の関連性 |
| 企業内転勤 | 転勤先での技人国業務 | 海外拠点からの転勤者 | 5年・3年・1年・3月 | 転勤元との資本関係 |
| 介護 | 介護福祉士としての介護 | 介護福祉士 | 5年・3年・1年・3月 | 介護福祉士登録 |
| 興行 | 興行・芸能活動 | 俳優、歌手、プロ選手 | 3年・1年・6月・3月・30日 | 接客等は範囲外 |
| 技能 | 産業上の特殊分野の熟練技能 | 外国料理の調理師、パイロット | 5年・3年・1年・3月 | 実務経験年数 |
| 特定技能1号 | 19分野の指定分野・機関 | 介護・建設・外食等 | 個々に指定(3年以内)、通算5年 | 指定書、転職は要許可、支援計画 |
| 特定技能2号 | 11分野の熟練業務 | 2号評価試験合格者 | 3年・2年・1年・6月 | 指定書。家族帯同可 |
| 技能実習 | 認定計画の範囲のみ | 技能実習生 | 個々に指定(1号1年/2・3号2年以内) | 2027年4月に育成就労へ。アルバイト不可 |
外交・公用は一般企業での雇用を想定しない資格で、雇用状況届出の対象からも外れています。
1-2. 非就労資格(別表第一の三・四の表)— 原則不可、資格外活動許可で週28時間
| 在留資格 | 就労 | 条件 | 在留期間 | 採用時の確認ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 留学 | △ | 包括許可で1週28時間以内(長期休業期間は1日8時間以内)。在籍中に限る | 個々に指定(4年3月以内) | 許可の有無・掛け持ち合算・在籍状況 |
| 家族滞在 | △ | 包括許可で1週28時間以内(長期休業の特例なし) | 個々に指定(5年以内) | フルタイムは就労資格への変更が必要 |
| 文化活動 | × | 収入を伴わない活動。個別の許可があれば可 | 3年・1年・6月・3月 | 裏面の許可欄 |
| 研修 | × | 技能修得活動。報酬を受ける就労は不可 | 1年・6月・3月 | 実務を伴う場合は技能実習等との区別 |
| 短期滞在 | × | 一切の就労不可 | 90日・30日・15日以内 | 在留カードなし。旅券の上陸許可証印を確認 |
1-3. 特定活動(別表第一の五の表)— 指定書で決まる
法務大臣が個々に指定する活動で、ワーキングホリデー(就労可)、EPA看護師・介護福祉士候補者、特定活動46号(日本の大学卒業者の幅広い業務)、継続就職活動・内定者(資格外活動許可で週28時間)など類型により可否が全く異なります。在留カードには「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載されるため、旅券に貼付された指定書の原本で活動内容・機関を確認してください。在留期間は5年・3年・1年・6月・3月または個々に指定(5年以内)です。
1-4. 居住資格(別表第二)+特別永住者 — 制限なし
| 在留資格 | 在留期間 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 永住者 | 無期限 | 在留カード有効期間(7年)の満了日 |
| 日本人の配偶者等 | 5年・3年・1年・6月 | 在留期限。離婚・死別は14日以内の届出、6か月以上配偶者活動がないと取消し対象 |
| 永住者の配偶者等 | 5年・3年・1年・6月 | 在留期限 |
| 定住者 | 5年・3年・1年・6月・個々に指定 | 在留期限 |
| 特別永住者 | 無期限 | 特別永住者証明書。雇用状況届出の対象外 |
職種・時間の制限なく雇用できますが、永住者以外は在留期限の管理が必要です。
2. 雇用主の3つの義務
2-1. 在留カードの確認 — 表3点・裏1点・新様式はアプリ
在留カードは中長期在留者に交付される「在留資格・在留期間をもって適法に在留することの証明書」です。採用時に確認するのは次の4点。
- 在留資格(表面)——早見表で就労可否を判定
- 在留期間(満了日)(表面)——期限切れ後の就労は不法就労
- 就労制限の有無(表面)——「就労不可」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」「就労制限なし」
- 資格外活動許可欄(裏面)——留学・家族滞在の人は「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」の記載
2-2. 外国人雇用状況届出 — 雇入れ・離職のたびにハローワークへ
労働施策総合推進法28条により、事業主は外国人の雇入れ時と離職時に氏名・在留資格・在留期間・在留カード番号等をハローワークに届け出る義務があります(対象:外交・公用・特別永住者を除く全ての外国人)。
| 区分 | 様式 | 期限 | 届出先 |
|---|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者 | 雇用保険被保険者資格取得届/喪失届の備考欄(在留資格・在留期間・国籍・資格外活動許可の有無・在留カード番号) | 雇入れ:翌月10日まで/離職:翌日から10日以内 | 雇用保険の適用事業所を管轄するハローワーク |
| 被保険者でない人(短時間アルバイト等) | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) | 雇入れ・離職とも翌月末日まで | 勤務先事業所を管轄するハローワーク |
届出を怠る・虚偽の届出をすると30万円以下の罰金(同法40条)。留学生アルバイトの多い業種ほど、様式第3号の出し漏れが起きやすい点に注意してください。
2-3. 不法就労助長罪 — 「知らなかった」は原則通らない
【原文・入管法73条の2】事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者……は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
在留資格外の業務をさせる、資格外活動許可のない留学生を働かせる、在留期限切れの人を雇い続ける——いずれも雇用主側が処罰対象です。2項が示すとおり「許可がないとは知らなかった」は過失がない場合に限って免責されるため、在留カードの原本確認と写しの保管、期限管理の記録が、会社を守る実質的な手段になります。
IT・オンラインでの解決策
在留期限・資格外活動許可・雇用状況届出の3点は、人事システムまたはスプレッドシートで在留カード番号をキーに管理し、満了日の60日前アラート、留学生の連続7日間稼働合計アラート、雇入れ・離職時の届出期限アラートを持たせると抜け漏れが止まります。在留カードの真正確認は入管庁の読取アプリ(ICチップ読取)と失効情報照会を採用フローに組み込み、結果を記録しておきましょう。雇用状況届出はハローワークインターネットサービスの電子申請に対応しており、雇用保険手続と同時に処理できます。
3. 採用前チェックリスト
- 在留カード(または特別永住者証明書)の原本を確認し、表裏の写しを保管(短期滞在者は在留カードなし=就労不可)
- 在留資格が早見表の「就労資格」か、業務内容がその資格の範囲内か
- 在留期間の満了日を記録し、更新時期のアラートを設定
- 留学・家族滞在は裏面の資格外活動許可を確認し、他社分を含めて週28時間以内で管理
- 特定活動は旅券の指定書で活動内容・機関を確認
- 新様式カード(2026年6月14日〜)は読取アプリで在留期間・許可の種類を確認、失効情報照会も実施
- 就労資格者の転職採用は、前職の業務との違いを確認し必要に応じて就労資格証明書を取得
- 雇入れ時に外国人雇用状況届出(被保険者:資格取得届備考欄/非被保険者:様式第3号を翌月末日まで)
- 離職時も届出(被保険者:喪失届10日以内/非被保険者:翌月末日まで)
- 技能実習・育成就労・特定技能は監理団体・登録支援機関・計画の範囲を別途確認
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留資格の種類 | 別表第一(活動資格)25+別表第二(居住資格)4=29種 |
| 制限なく雇える | 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者・特別永住者 |
| 範囲内で雇える | 教授〜技能実習の就労資格(技人国・特定技能・経営管理等)。資格ごとの活動範囲に限る |
| 週28時間まで | 留学・家族滞在等(資格外活動の包括許可)。風俗営業等は不可 |
| 雇えない | 短期滞在、許可のない留学・家族滞在、在留期限切れ |
| 確認手段 | 在留カード表面3点・裏面1点+指定書+読取アプリ・失効情報照会 |
| 届出 | 外国人雇用状況届出(雇入れ・離職。30万円以下の罰金) |
| 罰則 | 不法就労助長罪:3年以下拘禁刑または300万円以下罰金(入管法73条の2) |
よくある質問
- Q.外国人を雇うとき、在留カードのどこを見ればよいですか?
- A.表面の「在留資格」「在留期間(満了日)」「就労制限の有無」と、裏面の「資格外活動許可欄」の4点が基本です。就労制限の有無欄が「就労不可」でも、裏面に資格外活動許可(原則週28時間以内)があればアルバイトは可能です。「指定書により指定された就労活動のみ可」(特定活動等)の場合は旅券に貼付された指定書を必ず確認します。2026年6月14日以降の新様式カードは券面に在留期間の長さが載らないため、入管庁の在留カード等読取アプリで在留期間・許可の種類を確認できます。
- Q.就労に制限のない在留資格はどれですか?
- A.入管法別表第二の永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者、および入管特例法の特別永住者です。これらは職種・時間の制限なく雇用できます。別表第一の就労資格(技人国・特定技能等)は在留資格ごとに定められた範囲の業務に限られ、留学・家族滞在等は資格外活動許可の範囲(原則週28時間)でのみ就労できます。
- Q.外国人雇用状況届出はいつまでに出しますか?
- A.雇用保険の被保険者になる人は、資格取得届(雇入れの翌月10日まで)・資格喪失届(離職の翌日から10日以内)の備考欄に在留資格等を記入して届け出ます。被保険者でない人(短時間アルバイト等)は外国人雇用状況届出書(様式第3号)で雇入れ・離職とも翌月末日までに勤務先を管轄するハローワークへ届け出ます。対象は外交・公用・特別永住者を除く全ての外国人で、怠ると30万円以下の罰金の対象です。
- Q.技能実習生は2027年以降どうなりますか?
- A.技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ移行します。在留資格「技能実習」で在留中の人は経過措置のもとで計画を続行でき、新規の受入れは育成就労で行われます。育成就労は特定技能1号への移行を前提とした3年間の就労・育成の制度で、本人意向による転籍が一定条件で認められる点が技能実習と大きく異なります。
- Q.在留資格の確認を怠って不法就労させた場合、会社はどうなりますか?
- A.入管法73条の2の不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、併科あり)の対象です。同条2項により、在留資格外の活動であることや資格外活動許可がないことを「知らなかった」ことを理由に処罰を免れることはできず、過失がなかった場合に限って免責されます。在留カードの原本確認と写しの保管が、過失がないことを示す最低限の証拠になります。
編集長の一言
外国人雇用のトラブルは、難しい法解釈よりも**「在留カードを見ていなかった」「期限を追っていなかった」**という基本動作の欠落から起きます。早見表は判断を速くする道具であって、原本確認の代わりにはなりません。2026年6月の新様式で券面情報が減った今こそ、原本+アプリ読取+記録を社内の当たり前にしておくことが、不法就労助長罪から会社を守る最短ルートです。
出典・関連法令(一次情報)
- 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」(活動・該当例・在留期間)(参照日: 2026-08-19)
- 出入国在留管理庁「在留カードとは?」(2026年6月14日新様式・特定在留カード)(参照日: 2026-08-19)
- 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」(参照日: 2026-08-19)
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条(外国人雇用状況の届出)・第40条(罰則)(参照日: 2026-08-19)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(参照日: 2026-08-19)
- 出入国管理及び難民認定法 第73条の2(不法就労助長罪)(参照日: 2026-08-19)