技術・人文知識・国際業務では対象になりにくい接客業・販売職などにも、日本の大学等を卒業した留学生が正社員として就職できる在留資格が**特定活動(告示46号)**です。「専攻と業務の関連性」ではなく「日本語能力」を軸にした資格のため、あまり知られていませんが、専攻と直結しない業種を志望する留学生にとって重要な選択肢です。本記事は告示131号の原文に基づき、要件と対象業務を整理します。
この記事の結論
- 特定活動46号は、本邦の大学等を卒業した留学生が対象。技術・人文知識・国際業務では難しい接客・販売等の業務にも従事できる。
- 要件は①学歴(大学卒業等)②日本人と同等以上の報酬③日本語能力(試験等で証明)④学修成果の活用の4つ。
- 日本語要件はJLPT N1またはBJT480点以上が目安(入管庁案内)。技人国のCEFR B2相当より高い水準。
- 風俗営業活動と**法律上資格を要する業務(士業)**は対象外。
1. 特定活動46号の要件(告示131号・別表十一・第46号)
1-1. 対象となる活動
【原文】別表十一に掲げる要件のいずれにも該当する者が、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み、風俗営業活動及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するものを除く。)
ポイントは**「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み」**という部分です。技術・人文知識・国際業務が専攻と業務内容の関連性を審査するのに対し、特定活動46号は接客・販売など、専攻との関連性を問わない業務にも道を開いています。
1-2. 4つの要件
【原文】一 次のいずれかに該当していること。イ 本邦の大学(短期大学を除く。)を卒業して学位を授与されたこと。ロ 本邦の大学院の課程を修了して学位を授与されたこと。ハ 本邦の短期大学又は高等専門学校を卒業した者で…学士の学位を授与されたこと。ニ 本邦の専修学校の専門課程…であって、専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程…の規定により文部科学大臣の認定を受けたものを修了したこと。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①学歴要件 | 本邦の大学卒業(学位授与)/大学院修了(学位授与)/一定の短期大学・高専卒業+学士授与/文科大臣認定の専修学校専門課程修了のいずれか |
| ②報酬要件 | 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上 |
| ③日本語要件 | 日常的な場面に加え、論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面の日本語理解能力を試験等で証明 |
| ④活用要件 | 大学等で修得した学修の成果等を活用するものと認められること |
①の学歴要件は専門学校卒業者全般が対象ではなく、文部科学大臣の認定を受けた「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定課程の修了者に限られる点に注意してください。一般の専門学校卒業者(専門士)は、この告示46号ではなく技術・人文知識・国際業務の要件(専攻と業務の相当程度の関連性)で判断されます。
2. 実務上の注意点
2-1. 日本語要件はJLPT N1またはBJT480点以上が目安
入管庁の案内では、日本語能力の証明として日本語能力試験(JLPT)N1、またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上の成績証明書などが挙げられています。技術・人文知識・国際業務の対人業務で求められるCEFR B2相当(JLPT N2以上等)より高い水準が前提です。日本の大学・大学院を卒業していること自体は学歴要件(①)で確認されますが、日本語能力の証明(③)は別途、試験結果等で示す必要があります。
2-2. 除外される業務 — 風俗営業と士業
告示は「風俗営業活動」と「法律上資格を有する者が行うこととされている業務」を明確に除外しています。前者は接待を伴う飲食店等の営業、後者は弁護士・税理士など資格保持者に限定された業務です。それ以外の業務であれば、単純に見える接客・販売業務でも「日本語での円滑な意思疎通を要する業務」として対象になり得ます。
2-3. 技術・人文知識・国際業務との使い分け
留学生の就職先で在留資格を選ぶ際、専攻と業務内容の関連性を説明しやすいなら技術・人文知識・国際業務、専攻とは直結しないが日本語能力を活かした仕事(接客・販売・サービス業の正社員など)を目指すなら特定活動46号、という使い分けが実務上のポイントです。企業の採用担当者にとっても、選択肢を知っているかどうかで採用の幅が変わります。
IT・オンラインでの解決策
特定活動46号の在留資格変更許可申請は在留申請オンラインシステムに対応しており、必要書類のうち日本語能力試験の成績証明書は、日本国際教育支援協会等のマイページからPDFで取得できる場合があります。企業側は、内定段階で候補者のJLPT・BJTスコアを確認し、告示46号と技人国のどちらで申請すべきかを早期に判断するフローを整えておくと、入社時期のずれを防げます。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 本邦の大学等を卒業した留学生 |
| 対象業務 | 日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務(接客・販売等を含む) |
| 除外業務 | 風俗営業活動/法律上資格を要する業務 |
| 日本語要件の目安 | JLPT N1またはBJT480点以上 |
| 根拠 | 平成2年法務省告示第131号 別表十一 第46号 |
よくある質問
- Q.特定活動46号とはどんな在留資格ですか?
- A.本邦の大学・大学院等を卒業し、法務大臣が指定する日本の公私の機関に常勤職員として採用された人が対象の在留資格です(平成2年法務省告示第131号・別表十一・第46号)。技術・人文知識・国際業務では対象になりにくい接客・販売等の業務にも、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務として従事できるのが特徴です。
- Q.特定活動46号の要件は何ですか?
- A.4つの要件があります。①本邦の大学卒業・大学院修了・一定の短期大学等卒業+学位授与、または認定を受けた専修学校専門課程修了のいずれかに該当すること、②日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること、③日常的な場面に加え論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面の日本語を理解する能力を試験等で証明されていること、④大学等で修得した学修の成果等を活用するものと認められること、です。
- Q.特定活動46号の日本語要件はどう証明しますか?
- A.出入国在留管理庁の案内では、日本語能力試験(JLPT)N1、またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上の成績証明書などが例として挙げられています。技術・人文知識・国際業務のCEFR B2相当(JLPT N2以上等)より、求められる日本語水準が高い点が特徴です。
- Q.特定活動46号で働けない業務はありますか?
- A.あります。告示は「風俗営業活動」及び「法律上資格を有する者が行うこととされている業務」(弁護士業務等の士業)を対象から除外しています。それ以外であれば、単純作業に見える業務でも、日本語での円滑な意思疎通を要する業務として認められ得る点が、技術・人文知識・国際業務との大きな違いです。
- Q.技術・人文知識・国際業務ではなく特定活動46号を選ぶメリットは何ですか?
- A.技術・人文知識・国際業務は、専攻と業務内容の関連性が審査され、接客業やライン作業などは原則対象外です。特定活動46号は学歴と日本語能力の要件を満たせば、専攻との関連性を問わず「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」全般に従事できるため、専攻と直結しない業種への就職を希望する留学生にとって選択肢が広がります。
編集長の一言
「専攻と関係ない仕事だから就労ビザは無理」と考えて就職活動の幅を狭めている留学生は少なくありません。特定活動46号は、まさにその隙間を埋めるための制度です。日本語能力に自信があるなら、企業側にもこの選択肢を提案してみる価値があります。
出典・関連法令(一次情報)
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定活動(告示46号)』」(告示131号 別表十一・全4号要件)(参照日: 2026-08-20)
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』(本邦大学等卒業者及びその配偶者等)」(参照日: 2026-08-20)
- 出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る『特定活動』(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」(参照日: 2026-08-20)