技術・人文知識・国際業務や経営・管理など、就労系の在留資格で日本にいる人の配偶者・子が取得するのが**「家族滞在」**ビザです。呼び寄せを検討する際にまず気になるのが「収入はいくら必要か」という点ですが、実は法律上の明示的な金額基準はありません。この記事では、対象範囲・必要書類・就労の可否まで、入管庁の公表情報に基づいて整理します。

この記事の結論

  • 対象は特定の就労系・非就労系在留資格者に扶養される配偶者・子。対象になる在留資格の範囲は決まっている。
  • 収入の明示的な金額基準はない。扶養者の課税証明書・預金残高証明書などから経済力が実質的に審査される。
  • 在留期間は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
  • 就労するには資格外活動許可が必要で、包括許可の範囲は週28時間以内。
  • 家族滞在で来日した子が高校を卒業した場合、条件を満たせば**「定住者」または「特定活動」**への変更で就労が可能になる。

1. 「家族滞在」の対象範囲

1-1. 該当活動(入管法別表第一四の表)

【原文】一の表の教授,芸術,宗教,報道,二の表の高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動(在留期間:法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲))

条文が列挙する在留資格をもって在留する人(扶養者)の配偶者または子が対象です。裏を返せば、特定技能1号・技能実習(育成就労)・短期滞在などの在留資格者は、家族滞在の対象になる扶養者に含まれていません。特定技能1号の家族帯同が原則認められないことは、特定技能1号・2号の全体像でも触れているとおりです。

配偶者は法律上の婚姻関係にある者、子は実子・養子を含みます。内縁関係や成人した子で扶養を受けていない場合は、原則として対象になりません。

1-2. 必要書類 — 収入基準ではなく「経済力の裏付け」

入管庁が案内する必要書類は、扶養者の活動状況で2パターンに分かれます。

扶養者の状況主な必要書類
収入を伴う事業・報酬を受ける活動をしている在職証明書、営業許可書の写し、住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書
それ以外(学生等)扶養者名義の預金残高証明書、または給付金額・給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書

**「年収◯◯万円以上」という法定基準は存在しません。**ただし実務上は、扶養者の在留資格そのものの審査時と同様、「配偶者・子を扶養しながら生活を維持できるか」が課税証明書等の数字から確認されます。扶養者の収入が著しく低い、あるいは無収入に近い場合は、預貯金など他の資力を示す資料が重要になります。

2. 実務上の注意点

2-1. 就労には資格外活動許可が必要

家族滞在の在留資格自体には就労が含まれていません。アルバイト等をする場合は資格外活動許可が必要で、包括許可の範囲は1週28時間以内(留学生のような長期休業中の緩和はありません)。この範囲を超えて働く個別許可を受けるには、一般原則の要件に加えて、その活動に従事する期間が在留期間の過半を超えないことが条件です。時間の数え方や罰則の詳細は資格外活動許可|週28時間ルールの正確な数え方にまとめています。

2-2. フルタイムで働きたい場合は在留資格の変更を検討

配偶者がフルタイムで正社員として働きたい場合、資格外活動許可の週28時間では対応できません。本人が技術・人文知識・国際業務などの要件(学歴・実務経験等)を満たすのであれば、家族滞在から就労系在留資格への変更を検討するのが本筋です。要件は技術・人文知識・国際業務 完全ガイドを参照してください。

2-3. 高校卒業後に働きたい子は「定住者」または「特定活動」へ

家族滞在で来日した子が日本の高等学校を卒業し、そのまま就職したいケースでは、家族滞在のままでは就労に週28時間の制限が残ります。入管庁は次の2つの変更ルートを案内しています。

変更先対象者の要件(いずれにも該当すること)
定住者①日本の義務教育を修了②高等学校を卒業または卒業見込み③入国後引き続き家族滞在で在留④入国時18歳未満⑤就労先が決定(内定を含む)⑥住居地の届出等、公的義務を履行
特定活動①高等学校を卒業または卒業見込み②扶養者が身元保証人として在留③入国後引き続き家族滞在で在留④入国時18歳未満⑤就労先が決定(内定を含む)⑥住居地の届出等、公的義務を履行

2つのルートの差は、定住者が「日本の義務教育の修了」を求めるのに対し、特定活動は義務教育要件がない代わりに「扶養者が身元保証人として在留していること」を求める点にあります。日本の小中学校を出ていない場合は特定活動ルートが選択肢になる、という整理です。

なお特定活動ルートで高等学校に編入している場合は、卒業に加えて日本語能力試験N2程度の日本語能力が必要とされています。また、どちらのルートも資格外活動許可の範囲(1週28時間)を超えて就労する場合が対象で、就労先が決まっていることが前提です。「家族滞在」以外の在留資格でも、家族滞在の在留資格該当性がある方(「留学」等)はこの取扱いの対象になります。

IT・オンラインでの解決策

家族滞在の在留資格変更・更新申請は在留申請オンラインシステムで行え、手数料は窓口6,000円に対しオンライン5,500円です。扶養者の課税証明書・納税証明書は、多くの自治体でコンビニ交付やマイナポータル連携により取得でき、窓口に行かずに必要書類を揃えられます。夫婦・親子で書類を分担する場合は、誰がどの証明書を取得するかをオンラインで共有しておくと申請直前のトラブルを防げます。

3. 必要書類チェックリスト(呼び寄せ・認定申請の目安)

  • 在留資格認定証明書交付申請書+写真
  • 扶養者と申請人の関係を証明する書類(婚姻証明書、出生証明書等)
  • 扶養者の在留カードの写し
  • 扶養者の在職証明書・営業許可書の写し(収入を伴う活動をしている場合)
  • 扶養者の住民税課税・納税証明書(収入を伴う活動をしている場合)
  • 扶養者名義の預金残高証明書または奨学金給付証明書(それ以外の場合)
  • 返信用封筒

まとめ

項目内容
対象教授・研究・技人国・経営管理・企業内転勤・特定技能2号等の扶養を受ける配偶者・子
収入基準法定の明示基準なし。課税証明書等で経済力を実質審査
在留期間法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
就労原則不可。資格外活動許可(週28時間)が必要
高校卒業後の就労「定住者」または「特定活動」への変更で対応
根拠法令入管法別表第一四の表

よくある質問

Q.家族滞在ビザとはどんな在留資格ですか?
A.技術・人文知識・国際業務、経営・管理、高度専門職、教授、研究、企業内転勤など、定められた就労系・非就労系在留資格をもって在留する人に扶養される配偶者・子が、その扶養者との日常的な活動を行うための在留資格です。在留期間は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。
Q.家族滞在ビザに収入の基準はありますか?
A.法律や入管庁の公表資料に「年収◯◯万円以上」といった明示的な金額基準はありません。ただし扶養者が収入を伴う活動をしている場合は住民税の課税・納税証明書、それ以外の場合は預金残高証明書や奨学金の給付証明書などの提出が求められ、扶養する経済力があるかどうかが実質的に審査されます。
Q.家族滞在ビザでアルバイトはできますか?
A.そのままではできません。就労を含む活動をする場合は資格外活動許可が必要で、包括許可の範囲は1週28時間以内です。この範囲を超えて働く個別許可を受けるには、その活動に従事する期間が在留期間の過半を超えないことなどの要件があります。詳しくは資格外活動許可の記事をご覧ください。
Q.どんな在留資格の人の家族なら家族滞在の対象になりますか?
A.教授・芸術・宗教・報道(別表第一の一の表)、高度専門職・経営管理・法律会計業務・医療・研究・教育・技術人文知識国際業務・企業内転勤・介護・興行・技能・特定技能2号(二の表)、文化活動(三の表)、留学(四の表)の在留資格者が対象です。特定技能1号や技能実習の在留資格者は対象に含まれていません。
Q.家族滞在で来日した子が高校を卒業したら、そのまま日本で働けますか?
A.家族滞在のままでは資格外活動許可の週28時間が上限ですが、要件を満たせば「定住者」または「特定活動」への在留資格変更により制限なく就労できます。定住者ルートは日本の義務教育の修了が必要で、特定活動ルートは義務教育要件がない代わりに扶養者が身元保証人として在留していることが必要です。どちらも高等学校の卒業(または卒業見込み)、入国後引き続き家族滞在で在留、入国時18歳未満、就労先の決定(内定を含む)、公的義務の履行が共通の要件です。

編集長の一言

「家族滞在は年収◯◯万円必要」という情報がネット上に出回りがちですが、公式に明示された金額基準はありません。実際に見られているのは「扶養者の生活実態」です。課税証明書の数字だけでなく、預貯金や就労状況など、扶養能力を多面的に説明できる資料を揃えることが、結果的に近道になります。

出典・関連法令(一次情報)