相続登記の義務化に続く「第二の登記義務化」が、2026年4月1日に静かに始まりました。引っ越しただけで登記義務が発生する——対象者の多さでは相続登記を上回るのに、認知度は圧倒的に低いのが現状です。無料で自動反映してくれる新制度「スマート変更登記」の実情と合わせて整理します。

この記事の結論

  • 不動産所有者の住所・氏名変更登記は2026年4月1日から義務化済み。変更日から2年以内、怠ると5万円以下の過料の対象。
  • 施行前の変更にも適用され、その期限は2028年3月末
  • スマート変更登記(法務局の職権変更・無料)が新設されたが、個人向けの開始時期はまだ「未定」——現時点では自分で申請するのが確実。
  • 法人は会社法人等番号の登記をしておけば2026年5月15日以降、職権変更の対象に段階的に入っている。

1. 義務の中身 — 相続登記とセットで覚える

相続登記住所等変更登記
施行2024年4月1日2026年4月1日
期限知った日から3年変更日から2年
過料10万円以下5万円以下
過去分の期限2027年3月31日2028年3月末
簡易な代替手段相続人申告登記スマート変更登記(職権変更)

背景はどちらも所有者不明土地問題です。登記簿の住所が古いと所有者に連絡がつかず、公共事業や取引が止まる——それを解消するため、住所変更という日常的な出来事まで登記義務の対象になりました。

2. スマート変更登記 — 「無料で自動」だが個人はまだ

新制度の仕組みはシンプルです。

  • 個人:氏名・住所・生年月日等の「検索用情報」を法務局に申し出る → 以後、法務局が住基ネットで異動を定期確認し、本人の了解を取った上で職権で変更登記(手数料無料)。
  • 法人会社法人等番号を登記しておく → 商業登記の変更が不動産登記に自動反映。2026年5月15日以降、段階的に開始済み

ただし重要な注意があります。個人向けの職権変更の開始時期は「個別に案内予定」とされたまま未定です(2026年8月時点・法務省ページ確認)。つまり現時点で個人が「検索用情報を出したからもう安心」とは言い切れず、2年の期限が近い変更は従来どおり自分で変更登記を申請するのが確実です。なお2025年4月21日以降に所有権の登記を申請する際は、検索用情報の申出が原則セットになっています。

3. 実務チェックリスト

  • 登記簿上の住所と現住所が一致しているか確認した(登記情報提供サービス等)
  • 2026年4月1日より前の転居分は2028年3月末が期限と認識した
  • 個人: 検索用情報の申出状況を確認した(職権変更の開始は未定と理解した)
  • 法人: 会社法人等番号が不動産登記に記録されているか確認した
  • 転居を繰り返している場合: 住民票の除票・戸籍の附票で住所の連続性を証明できるか確認した

IT・オンラインでの解決策

自分名義の不動産の登記上の住所は「登記情報提供サービス」(1件数百円)でオンライン確認できます。変更登記自体も「かんたん登記申請」でオンライン申請が可能で、住所変更の登録免許税は不動産1件1,000円です。転居履歴が長い場合は、マイナポータルの引越し手続履歴や戸籍の附票の広域交付を使うと証明書類の収集が速くなります。

まとめ

項目内容
義務化2026年4月1日施行済み(過去の変更にも適用)
期限変更日から2年/過去分は2028年3月末
罰則正当な理由なく怠ると5万円以下の過料
新制度スマート変更登記(無料・職権)— 法人は開始済み、個人は開始未定
根拠法務省 住所等変更登記・スマート変更登記 各ページ

よくある質問

Q.引っ越したら不動産の登記も変えないといけないのですか?
A.はい。2026年4月1日から、所有権の登記名義人は住所・氏名の変更日から2年以内に変更登記を申請することが義務になりました。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。
Q.施行前に引っ越していた分はどうなりますか?
A.施行日(2026年4月1日)より前の変更にも適用され、施行日から2年=2028年3月末までに申請する必要があります。何度も転居していて登記簿上の住所が古いままの人は要注意です。
Q.スマート変更登記とは何ですか?
A.本人が「検索用情報」を申し出ておくと、以後は法務局が住基ネットで異動を確認し、職権で(無料で)住所変更登記をしてくれる仕組みです。法人は2026年5月15日以降段階的に始まっていますが、個人向けの開始時期は現時点で未定とされています。

編集長の一言

「個人向けスマート変更登記はいつ始まるのか」——この問いに、2026年8月時点で確答できる情報は公式にも存在しません。本サイトは法務省ページを監視対象にしており、開始時期が公表され次第この記事を更新します。それまでは「2年期限は自力申請で守る」が唯一確実な答えです。

出典・関連法令(一次情報)